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世界の物流拠点と荷主を繋げるために。ハイブリッド手法でプロダクト開発を行う新規SaaS事業の裏側

📝 What's 「ギークプラス」
物流ロボットAMRで世界シェア首位のユニコーン企業で日本法人はCEO加藤とのジョイントベンチャーとして2017年に発足。トヨタ、アスクルなどの大手企業に導入され、AGV市場では国内トップシェアの物流テック企業です。

ギークプラスではロボット販売だけでなく、日本そして世界の物流の常識を変えるべく、次世代ロボティクス技術を活用した新たな物流スタンダードの共創に取り組んでいます。

そして現在新規事業として取り組んでいるのが、世界中の物流拠点と荷主側のシステムをシームレスに連携し、事業最適化を支援するSaaS事業『nest(ネスト)』です。

今回はnestのプロダクトマネージャーの中川に、これまでのキャリア遍歴からギークプラスを選んだ理由、またnestが現在どういったプロダクト開発体制で、どういった事業フェーズであるのか聞いてみました。


自社資本だからこそ、時間をかけて物流の常識を変えていく挑戦ができることに魅力を感じた

― まずは中川さんのこれまでのキャリア遍歴を教えてください。

新卒で外資系の大手食品会社に就職し、サプライチェーンマネジメント部門に配属されたことがはじまりでした。生産工場が全て海外にあり、食品ならではの高い品質管理が求められる中で在庫配置を適正化するプランニング業務から、3PLのマネジメントや物流に関わる日々のトラブルシューティングなどロジスティクス業務まで幅広く担当してきました。

※ 3PLとはサードパーティー・ロジスティクスの略で荷主から荷物を預かり、物流業務全般を代行する企業のこと。

その後、大手アパレル製造小売の会社に転職しまして、そこでは在庫管理システムの保守をしながら、海外の倉庫立ち上げなどシステムの導入、刷新が関わるプロジェクトも担当してきました。海外の倉庫立ち上げに関しては、現地の3PL会社の倉庫管理システムと自社の在庫管理システム連携させる必要があります。
そこで現地の3PLとオペレーションの設計をしながらシステムの要件定義を世界各国で行ってました。

徐々にプロダクトマネジメントの要素が増えていき、様々なプロジェクトをリードする立場にいたのですが、もっとプロダクト開発そのものに近いところで動いてみたいと思い、ソフトバンク系列のロボット開発・販売を行う会社へ転職します。
そこでは当時物流倉庫オペレーションの自動化に取り組んでおり、私は倉庫管理システムや様々なロボット・自動化設備を制御するシステムの開発マネジメントを担当していました。

そうして物流を軸に、プロダクトマネージャーとしてのキャリアを歩んできたのですが、大手企業でのキャリアをスタートしているため、小さい組織が成長していく過程に携わりたいと思うようになり、2023年にギークプラスに入社しました。

― ギークプラスに入社を決めた経緯や入社の決め手を教えてください。

ソフトバンク系列のロボット製造・販売を行う会社のあとにも数社経験しているのですが、前職を辞めたタイミングでたまたまスカウトの連絡をもらったことがキッカケでした。実は、はじめはギークプラスを “ロボットの会社” だと思っていたので、お断りしたんです(笑)。

しかし、「それは違うから、まずは話を聞いてみないか」とのことで、実際に話を聞いてみたら、たしかに違うなと。ロボット販売が主力事業ではあるものの、それ以外にもこれまでの物流の常識を変えるようなことにチャレンジしている会社で、しかもそれを50〜60人の規模でやっているということに興味を持ちました。

また、いままでのキャリアから物流の大変さを理解しているからこそ、いろいろなことがブラックボックス化している物流領域で新しいことにチャレンジすることは非常に大変ですし、時間もかかります。
そのため、もしベンチャーキャピタルなどから資金調達している場合は、5〜10年、さらには20年といったスパンで事業を進めていくことは許されないわけですが、ギークプラスは自社資本で運営しているため、時間をかけて本質的な事業開発に取り組めるということが魅力だと感じました。

私自身のナレッジが活きる領域で、かつビジネスとしても勝ち筋がある面白いことをしている会社だと思えたことが、ギークプラスに入社した理由でした。

国内だけでなく、世界の3PLも巻き込んでいく。物流起点で企業経営を加速させていくギークプラスの新規事業nestとは

― 現在、中川さんがギークプラスで担当している新規事業について教えてください。

『nest』というSaaS型の物流ソリューションで、具体的には荷主側の基幹システムと3PL側の倉庫管理システムのインターフェース連携を行うプロダクトです。

荷主側にとってはパフォーマンス等の理由から3PLを切り替えるという意思決定をすることがあるわけですが、3PLの切り替えは相当な負荷がかかります。というのも、新たに契約する3PL側とのシステム連携を新しくやらなければならないからです。

また、単にシステム連携をすればよいという話ではなく、3PLが変わればオペレーションも異なりますから、業務要件の整理から行わなければならず、3PLの切り替えというのは1年以上かかることも珍しくありません
私自身、これまでに何度も経験してきたため、身を持ってその大変さを理解しています。

そこで実現しようとしているのが、荷主側も3PL側もハブである『nest』と繋がっていて、荷主から見るとnestのネットワークにある3PLと即座にインターフェース連携ができ、3PL拠点の新規立ち上げ・切り替えにかかるリードタイムを短縮できる世界です。
もちろん、各社ごとにシステムが違うわけですから、その差分にいかに対応していくかは非常に難しい部分でもあります。そのため、同じようなことを考える企業はいたでしょうが、その差分に対応することが難しいがゆえに、この手のプロダクトというのはいまだ生まれておらず、従来通り要件定義して直接システム同士を繋ぐということを各社行っているのが現状です。
しかし、『nest』に接続する3PLが増えれば増えるほど、荷主側にとってはよりフレキシブルな物流の構築につながるので、いかに『nest』に繋がる3PLを増やすかが重要になります。
地道にネットワークを増やしていく努力を重ねて理想とする世界観を実現できたときには物流の常識が大きく変わるプロダクトが『nest』です。

― 『nest』によって荷主と3PL間でのシステム連携に伴うリードタイムが短縮されることで、どういった世界観が実現可能になるのでしょうか?

現在人材不足が社会問題化していますが、それは物流業界も例外ではありません。ドライバーが足りない、倉庫スタッフが足りないということがすでに明確な課題として浮き彫りになる中、物流・運送業界での労働時間の改正もあり、当たり前にモノが届くというのが当たり前ではなくなる世界が近づいてきています

一方で消費者視点ではAmazonの翌日配送のように、すぐに届くかどうかがECサービスを選択する際のポイントになっており、購入した商品が2週間後に届くといったサービスは選ばれづらいわけです。そこで配送のリードタイムを短縮するためには、在庫を持つ倉庫拠点を分散させて、北海道のお客様には近くの北海道の倉庫から配送するのが理想です。

そうしたときに、『nest』が接続している3PLが多ければ多いほど、荷主にとっては倉庫を1拠点から3拠点へ増やそうという意思決定がより容易になり、さらに3PLとの接続も早くなるため、事業サイクルをより早く回していける状態になります。

複数倉庫をまたがる入出荷の最適化や各倉庫管理システムへの情報連携は全てnestがマネージすることが可能で、荷主側は大きなシステム投資をすることなく複数拠点運用が可能になります。
ただ物流に関する効率化を実現するという話ではなく、企業の経営を加速させるソリューションになるということが『nest』の最大の価値だと思っています。

― 現状、nestはどういった事業フェーズにあるのか教えてください。

PoCフェーズを経て、自社の3PL拠点を繋いで荷主のお客様にご利用いただいているものがあるのですが、先述の世界観をより強固に実現していくためにプロダクトの再構築が必要だと判断しました。既存プロダクトとは切り離した環境でサービス設計を見直し、ゼロからプロダクト開発を行っています。新しいプロダクトの基盤ができたら既存のお客様にもご利用いただけるようになります。
また、組織としてもまだまだこれからというフェーズで、現在開発体制としては業務委託のエンジニアが中心であるため、コアメンバーは実質私のみ。そのため、いわば新生nestの創業メンバーとして一緒にプロダクト開発に携わってくれるエンジニア、プロダクトマネージャーを現在募集中です。なお、国内で販売されている商品が海外で生産されているということが当たり前に行われているわけですから、当然『nest』も国内の3PLのみが連携先になるわけではなく、海外の3PLも対象になってきます。
つまりグローバルに展開していく、より広くスケールしていけるプロダクトが『nest』であり、そうしたプロダクトの立ち上げフェーズにコアメンバーとして携われるということは、エンジニアにとって非常に面白いタイミングです。

― プロダクトをあらためて開発していく中、組織づくりで大切にしていることはありますか?

『nest』は世にないソリューションであり、ユーザーの課題解決につながるプロダクトの使用シーンは多岐に渡ると見ています。そのため、デリバリーのスピードを早め、実際の使われ方を学びながら改善を繰り返し、プロダクトの価値を最大化していく必要があります
また、クライアント毎に個別開発するのではなく、今後のすべての荷主に向けた汎用的なものをつくろうとしています。非常にチャレンジングで面白い部分です。

だからと言って完全なアジャイル開発で進めていくのかというとそうではなく、『nest』を導入いただくクライアントのプロジェクトでは、何月何日までに倉庫移転を完了させるというビジネス上の明確なデッドラインが存在し、それに合わせて仕様を擦り合わせたり連携テストを実施する などやるべきことは多くあります。

つまり、アジャイルな開発体制を取りつつも、ウォーターフォールのようなプロジェクト管理も重要で、それらがうまく噛み合ったハイブリッドな開発組織をつくっていきたいと考えています。
他の企業であればなかなか見ない開発体制になっていきますから、そうしたハイブリッドな開発組織に興味がある方にぜひ来てほしいなと思っています。

― 最後にnest、そして中川さん自身の今後の展望をお聞かせください。

まずは愚直に良いプロダクトをつくり、マーケットに受け入れられるソリューションとなって、自分たちが正しいものをつくっているのだということを証明したいと思っています。

また、いま業務委託で開発に携わっているエンジニアが「いろいろなプロダクト開発に携わってきたが、中には本当にエンドユーザーに使われるものになるのだろうか」と思うような、虚しさを覚えるプロジェクトも過去にはあったと話していました。そうしたことは実際に世の中では多くあると思います。

しかしギークプラスはすでに大手クライアントがいて、空想の顧客に対してプロダクトを開発しているのではなく、プロダクトを実際に使ってくれるリアルな顧客の実案件をベースに開発ができるということが大きなポイントです。
そしてギークプラス自体がいま新しい人材も加わり、新たなカルチャーが生まれようとしています。そうした会社の変革を目の当たりできることは非常に楽しく、そして自らがこの会社の変革の主体者として邁進していきたいと考えています。


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