物流テック黎明期のいまだからこそ、自分たちの行動が未来をつくる。次世代に向けたギークプラスの挑戦とは
当社ではロボット販売だけでなく、日本そして世界の物流の常識を変えるべく、次世代ロボティクス技術を活用した新たな物流スタンダードの共創に取り組んでいます。
そこで今回はあらためてギークプラス創業までの軌跡、そしてギークプラスのカルチャーや今後の展望について、代表取締役CEO 加藤大和、執行役員 営業本部長 嶋田由香里が語りました。
ブラックボックス化した日本の物流を変える。中国ギークプラスとのジョイントベンチャー設立までの軌跡
― あらためて、ギークプラス創業に至った背景を教えてください。
加藤:新卒で外資系証券会社に入社し、そのときに物流に携わったことがすべてのはじまりでした。当時は日本進出する企業向けに物流観点でのリサーチ等に携わっていたのですが、欧米と日本では物流の常識がまったく違うということを目の当たりしました。
当時は90年代後半でしたが、すでに欧米では倉庫の使われ方含め、ECに適した物流にシフトしている状況で、日本の4〜5年先を行っているなと。これは近い将来、日本の物流が大きく変化すると強く実感しました。
そこでより物流の現場について学びたいと思い、EC企業にはじめはアルバイトで入社しました。そして販売企画等のフロント寄りではなく、ロジスティクス等のバックエンド側のオペレーションを学んだ後に、2006年にアッカ・インターナショナル(以下、アッカ)を設立。
EC事業者向けの商品撮影サービスからはじまり、自社物流の構築や在庫管理ソリューションの開発・提供を行うなど、物流の効率化に取り組んできました。
そうした中、物流業界のボトルネックとなっていたのがBtoBとBtoCでの物流の壁でした。コンビニとコストコのような倉庫型店舗では1つの商品をピックアップするのにも、歩行距離は大きく異なります。
同じように、箱単位で在庫管理されていたBtoB向けの倉庫で、BtoC向けに商品をピックアップしようとするのは非常に非効率であったため、これまではBtoBとBtoCで物流が分けられていました。
しかし、歩行距離の問題を解決できれば、つまりAMRという歩行距離をゼロにするデバイスがあれば、このBtoBとBtoCでの物流の壁をなくせるだろうと考えていました。
さらにAMR導入によって業務効率化ができることはもちろん、物流の現場がデジタルシフトしていくということも重要だと考えていました。
物流業界は残業体質であったり、業務が属人化しがちであったりと、様々なことがブラックボックス化している産業でした。しかしデジタルシフトすることでいろいろと数値化されて見える化ができます。見える化ができれば作業の計画を立てることができ、急激な物流過多にも対応できたりと、気合と根性の世界観からシフトできるだろうと。
そうした物流業界の流れを大きく変えていくことができるAMRに可能性を感じ、理想とするAMRを探していた中で出会ったのが中国のギークプラスでした。
― ジョイントベンチャー先として中国のギークプラスを選んだ大きな決め手は何でしたか?
当時すでにAMRを開発しているメーカーというのは当然いくつかありましたが、どこもどれくらいの移動スピードが出せるだとか、故障が少ないだとか、ハードウェアの話題が中心でした。しかし、実用化するために重要なのはソフトウェアの部分で、ギークプラスはそれを理解していたということが大きなポイントでした。
ギークプラスは当時まだ20〜30人規模のスタートアップで、本当に掘っ建て小屋のような場所にわずかばかりの執務スペースと、あとはAMRをテストできる広場があるだけの会社だったのですが、AMRの開発だけでなく、自分たちのソリューションを使った出荷作業も実際に行い、ソリューションをブラッシュアップしていくサイクルを持ち合わせていました。
そして3,000点もの出荷業務をわずか2人のリソースで終わらせていたりするのを目の当たりにして、実務レベルで何が必要なのかをしっかりと理解し、改善していく姿勢があるこの人たちとであれば一緒にやっていけると思えたことが決め手でした。
また、最初に日本展開を持ちかけた際に、「まだソリューションが完成しておらず、中国国内で販売していく体制もできていないから無理だ」と断られたのですが、そうした高いクオリティを維持したいというマインドセットがあることに強く共感。
そこでクオリティに関心が高い日本市場で展開することで、ソリューションをより良くしていくことができる。パートナーとしてジョイントベンチャーをつくり、日本で一緒に展開をしていこうと訴え、2017年に日本法人設立に至りました。
いまは物流テック黎明期。物流の未来を担っているのは自分たちだと感じられるのはこのフェーズだからこその面白さ
― 嶋田さんがギークプラスにジョインされた経緯や理由を教えてください。
嶋田:私はもともとアッカに在籍しており、ギークプラスのAMRを用いたソリューションをお客様に提供していたのですが、そのときにAMRが物流に革新性をもたらすことに強く感銘を受けました。
というのもAmazonに代表されるように、一般消費者の方はすぐ届くであったり、配送日時が想定できるという利便性でECを選ばれます。つまり、AMR導入の利点というのは単に業務効率化ができるだけでなく、配送のリードタイムを短縮することでEC事業者のビジネスを加速させるエンジンになるという点で、物流だけの話ではなく、ビジネスに変革をもたらすことに共感しました。
一方で、この革新性のあるソリューションは他の物流会社にとっても価値あるものだとわかっていても、3PLの立ち位置からでは競合と見られてしまいますから、なかなか連携を取ることが難しいわけです。そこで中立的なポジションから物流マーケットに価値提供をしていきたいと思い、ギークプラスにジョインしました。
― 物流のデジタルシフトというイノベーティブなことに取り組まれてきたからこそ、様々な課題にも多く直面されてきたと思います。そうした中、どういったことがギークプラスのカルチャー形成に影響してきましたか?
加藤:はじめはプロトタイプレベルであったこともあり、お客様からは「使い物にならない」といったクレームが入るなど、課題はたくさんありました。しかし、そこで諦めずに、お客様に謝罪して、どう課題を解決していくかをチームで取り組んでいくというのを繰り返してきました。
そうした失敗の数だけ成長があるということを肌で実感しているメンバーが集まっているからこそ、ギークプラスには失敗を恐れずに挑戦するカルチャーが根付いていると思っています。
そして過去の事例として、スポーツ小売大手のアルペンにAMR導入を支援させていただいたことがありました。それまでは小さな現場が中心であったため、7,000坪という広さでの自動化は容易ではありませんでした。
そこで中国のギークプラス創業メンバーらも訪日し、アルペンの担当者の方々も交えながら、数週間かけてみんなで議論を重ねていったのですが、そうした誰もが経験したことのないような新しいことに私たちは挑戦し続けている会社です。
誰もやったことがないからこそ、来年のAMRがどうなっているかもわかりませんし、私たちの行動が来年のAMRに影響していくという世界観のため、日本だけでなく、世界の物流の未来を自分たちがつくっているということを感じられる面白いフェーズです。
90年代のインターネット黎明期のような未開の領域が多く残されていたときのように、物流テックはいままさに黎明期で、自分たちの挑戦によって新しい未来をつくっていける稀有な市場。だからこそ失敗を恐れずに、一人ひとりがオーナーシップを持って挑戦していってほしいと思っています。
嶋田:また、ギークプラスはベンチャーキャピタルが入っておらず、自己資本で運営している会社です。ロボット販売事業はおかげさまで収益化できており、他事業に投資できるからこそ、自由度高く挑戦できる環境があります。
やはり新しい価値をつくろうとしている以上、短いスパンではなかなかジャッジができないわけですが、そうした自己資本での運営体制であるため、長いスパンで見て新しいことに取り組んでいくことができます。
誰も正解がわからないことに取り組んでいるので、トライアンドエラーを重ねながら、主体的に行動を起こしていくことに面白さを感じる人はとても楽しく働ける環境だと思います。
このままでは物が届かない未来がやってくる。次世代の “物流の当たり前” をつくっていくことがギークプラスの使命
― ギークプラスは現在、どういった事業フェーズにいるのでしょうか?
加藤:国内での0→1フェーズはほぼ終わり、物流業界の中では、ギークプラスを知らない人はいないくらいにまで成長してきました。一方で1→10をやろうとしていく中で、課題としてあるのが市場の物流テックに対する理解不足です。
たとえば “切る” というニーズに対しても、ハサミやカッター、のこぎり、さらにはメスに至るまで、ニーズ別に様々なソリューションが存在します。森林を伐採したい人にメスを無理やり提供しても、意味がないわけです。
しかし物流テックにおいては、「とりあえずロボットを売ろう」といった動きをとる競合他社もいて、ニーズとソリューションのミスマッチが起きてしまいがちです。その結果、ロボットを導入しても意味がないといった体験が増えてしまうことはマーケットの後退に繋がりかねません。
そこで重要になるのが、いかに正しくマーケティングを行い、市場を教育していくかということ。そして、ただロボットを提供するのではなく、ロボットを含めたソリューションを提供していくことです。
日本のギークプラスはメーカーではないからこそ、より良いソリューションを提供するためには他のロボット事業者とも連携していきますし、他業界ともアライアンスを組みます。様々なスペシャリティと連携し、市場に正しく価値を届けていくフェーズだと考えています。
― そうした中、どういった方にジョインしてほしいとお考えですか?
嶋田:加藤からもあった通り、物流という狭い業界では知られているものの、一般的な業界でのギークプラスの認知度はまだまだ低いことが課題にあります。だからこそ外の知見が必要で、 “物流” と聞いて遠い存在のように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そういう方にこそジョインしてほしいと思っています。
また、ギークプラスが行っていることは、不要なものをいかに売るかというのではなく、必要とされるものを提供しているということがポイントで、市場としても確実に伸びていくことが予想される業界です。
だからこそ、社会にインパクトのあることに挑戦できたり、個々の努力や成長が成果にしっかりと表れやすいため、自身のスキルや経験を存分に活かしたいという方には向いている環境だと思っています。
― 最後にあらためて今後の展望をお聞かせください。
加藤:いま国内の労働人口は年々減少しており、さらに働き方改革含め、これまでの物流の当たり前が当たり前ではなくなる未来が目の前にやってきています。このままでは物が届かない、さらには緊急支援物資など生命に関わるものなど、必要なものが必要なタイミングで届けられないということが起きかねません。
自分たちの代がやるべきことをやらず、前の世代の人たちが築いてきた日本がだめになる、良い国が保たれなくなることは割けるべきだと強く思っています。だからこそ、いま自分たちに何ができるかを考えて行動していきたいですし、最低限必要な物流インフラを自分たちがつくっていくのだという強い意志を持って私たちは取り組んでいます。
また、私たちが見ているのは日本国内だけではありません。物資は生産国があって消費国があり、私たちが相対するお客様はグローバル企業が多いため、常にグローバルな視点を持って動いています。
生産国側の倉庫とどう連携するか、そのためにどういった企業と連携すべきかなど、自社のアセットだけでなく、様々なものを組み合わせて、最適なソリューションを考えていかなければなりません。
そして物流のデジタルシフトは単にロボットを導入して終わりというわけではなく、事業者のビジネスモデルや現場の働き方などにも関わることで、ビジネス全体の未来を描いていくことが求められます。
そうしたチャレンジングなことに取り組んでいるのがギークプラスであり、私は失敗も成功も分かち合える仲間と一緒に仕事がしたいと考えています。決められたことをやるのではなく、自ら主体的に課題解決に取り組んでいきたい、新しい未来を築いていきたいという方はぜひ私たちと一緒に次世代の物流の常識をつくっていきましょう。
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